私たちの使う素材には「顔」があります。

今回の生産者
vol.6
医王の舞生産研究所 吉田稔さん
五穀豊穣、今年も豊作
3年ぶりに真夏の焼けるような太陽が照りつける富山空港に到着。 今年は、長梅雨、冷夏、稲の成長が心配でなりません。 今回は、収穫前の「医王の舞」の稲穂に会うために、富山県福光町「医王の舞」の生産者、吉田稔さんを3年ぶりに訪ねました。
ブラウンライスのモノ選びのポイント、「誰が」「どこで」「どのように作っているのか」はっきりわかるものを選ぶことです。吉田稔さんは、昭和54年、農協を退職後、農薬漬けの農協指導型の農業にNOと有機農業に取り組みました。そして、試行錯誤のなかで、めぐり合ったのが、「ポーマン」という土壌活性剤でした。

発明者である山下豊博士の亡き後、博士の意思を継ぎ、吉田さんは、「ポーマン」を自ら製造することになりました。事務所の1Fに「ポーマン」の工房があります。工房というのは、活性剤を作っているというより、味噌蔵と同じ匂いが立ち込めているからです。生いわし、大豆などをブレンドし、大きな桶で発酵させます。発酵が完了すると、ゼオライトなどの岩石を混ぜ粉状にして出来上がりです。肥料というより、いわしのふりかけのような香ばしい匂いに驚かされました。

吉田さんは、「肥料」を「エサ」と呼んでいます。それは、人間も植物も醸造したものを食べなければ健康になれないと考えているからです。「土は、人間でたとえると腸、有用菌がいっぱいの健康な腸でなきゃ、肥料も吸収しないし、おいしい作物はできない」「夏は、腐敗しやすいから、私たちも梅干し食べたりするでしょう。糠漬けなんか、乳酸菌が豊富で、腸にすごくいい!」だから、土にも醸造したものを与え、元気にしてあげるのだそうです。「医王の舞」は、有機栽培ですが、無農薬と表示はできません。田植え後、2週間目に、除草剤を1回散布しているからです。ただし、その量は通常の1/2であり、今年は、さらに量を減らす方法として、「米糠」を田んぼにまきました。田植えも、除草剤も、ポーマンの使用の日も、全て月の満ち欠けをみながら日を決定していきます。息子の吉田剛さんは、長年、それをデーター化しています。「信じられないかもしれませんが、成長にははっきりと差がでてきますよ」「月と星の関係により、根から吸い上げる日と葉や果実にエネルギーが移る日があります」「月も星もない日には、何もやってはいけないです」これは、バイオダイナミクスといい、欧州では、まじないや慣習ではなく、科学的データーに基づく農法として広く認められています。
さっそく、吉田さんの田んぼへ行ってみました。丁度、稲穂が開花しているところで、すくすくと医王の舞は育っていました。吉田さんは、稲を1本抜き、「茎を噛んでみなさい」と差し出されました。「甘い!蜜のような味」同じようにして、農薬使用の稲の茎を噛むと、「苦い」これが米の味にそのまま反映されるそうです。医王の舞の葉っぱは、天に向かって刀のように尖がっていました。
「手をかざしてごらんなさい。痛いでしょう。これは、宇宙のエネルギー全てを取り入れるためのアンテナのようなもんだよ。だから旨い」と日焼けした笑顔で稲の状態を細かく説明されました。

オーガニックブームは、今、ひとつの局面を迎えています。認定制度が生まれ、「安全」であることはわかりやすくなりました。吉田さんは、米や作物は、ストレスのない状態が最もおいしいと考えており、有機栽培や無農薬=ストレスがないとは限らない=おいしいとは限らないという結論に達したと話してくれました。全国の有機堆肥を使うことを優先とする農家を指導し、「有機栽培」のラベルに左右される消費者も指導していくことを農業のかたわらで続けています。医王の舞は、全国のお米品評会で2年連続で金賞を受賞しました。今年も11月に新米を出展するそうです、「生産者も励みになるからねー」と、今年も意欲を燃やしている吉田さんでした。安全とは何か?おいしさとは何かということをあらためて考えさせられた旅となりました。
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